息子のトニー。
2020年、コロナが本格化する前のギリギリを狙ってこの世に爆誕した我が息子。現在1歳なりたてほやほやの超活発・爆食な男児である。
名はアントニン・健(たける)。アントニンはチェコの作曲家のドボルザークから頂き、健は母親が佐藤健のファンだったから…じゃなくて、字画やら意味やら色々加味して決めた。呼び名はトニー。日本人にもトニーって呼んでもらっている。でも健つながりでいつか佐藤健に抱っこしてほしい。その暁にはついででいいので母親のほうもハグしてもらおう。
トニー、イケメンである。
親バカなのはわかっている。でもそこをさっぴいてもイケメンだと思ってしまう。もう見た目がリアルキューピー。キューピーが家で高速ハイハイをしている。キューピーがむちむちな手足であちこちを荒らしていく。そんな日々は、控えめに言っても幸せだ。カオスだけれど。
今でこそぱっちりおめめのトニーだが、生まれたての時は立派な一重であった。産んだ瞬間、黒髪に一重の息子をみて、「あっちゃー私に似てもうたー!」と密かに思ったのだった。「ハーフの恩恵、いずこに」と心で毎日思っていた。
そんなときいつも、私の母が繰り返しいっていたエピソードを思い出した。
生まれたての私をみたおばあちゃんが「この子は朝潮に似てるね」といったという話。
朝潮って、
当時の力士だから。
【連載 名力士たちの『開眼』】 大関・朝潮太郎 編 額(ひたい)が割れた――「そうだ、その当たりだ!」
https://www.bbm-japan.com/article/detail/7470
世に生まれていきなり力士はないよ、おばあちゃん!涙
そんなこんなで、トニーがリアル朝潮になっていく姿を想像し、身震いした。
ある日
息子が3ヶ月くらいにさしかかったある日、朝起きたら息子の目がキューピーになっていた。朝潮ではなく、キューピーのぱっちりお目目だ。
目がいきなり二重になるという奇跡のような現象を前に、友人がいっていた「赤子の顔はすごく変わるよ」という言葉を思い出した。
そこからというもの、まつ毛はグングンのび、母親のまつげの2倍となった。母親がいつも必死にビューラーでまつ毛をカールしているのをよそ目に、トニーのまつ毛は常に上向きだ。大きな黒目は常にウルウル。羨ましすぎる。
これがハーフか。おそるべしDNAの奇跡。
たまにマジマジと見つめてしまう。恩塚家の血統には現れ得ないものがここにある。というか、顔の造形には私のDNAは見当たらない。髪の色や肌の色、あと蒙古斑が私に似た。ぷりぷりお尻の蒙古斑をみるたびに、この子には日本人のDNAが流れていると確認する。そして「私に似たのが蒙古斑でよかった」とほっとする。
だが最近。
心配な一件がある。
はじまったのだ。はなほじりが。
見てほしい、この真剣な眼差し。未来を見据えるかのように遠くを見つめ、無心に人差し指を奥へ、奥へ。
ふとトニーを振り返ると、指はこのポジションだ。磁石で引き寄せあっているのか?指はすっぽりいつも定位置だ。
トニー、その奥にはいったい何があるんだい?
その探究心は自分の鼻の穴だけにとどまらず、母の鼻の穴にもおよぶ。寝かしつけで抱っこしていると、半分寝落ちしているキューピーの人差し指が伸びてくる。そして細い指で鼻の穴を探り当て、不意打ちでぶっ刺してくるので、かなり奥まで到達してしまう。
そのダメージたるや。毎回寝かしつけは自分の鼻のプロテクションに必死だ。
赤子の顔は変わりやすい
トニー。そんなに鼻ほじってたら、ぶた鼻になるよ。おまえの母さんには朝潮DNAが流れている。気を付けろよ。
そんなことを思う日々を過ごしている。